消化器内科
2023/09/10

膵嚢胞(すいのうほう)は膵がんの高危険群、忘れずに二次検診受診を!

膵がんの早期診断のため定期的な画像検査を

膵がんは10年生存率が6.5%と最も予後不良ながんとして知られています(2021年国立がん研究センター発表)。診断が難しいとされる膵がんですが、膵がんになりやすい危険因子に注目し膵がんを早期に診断する取り組みが広く普及してきました。腹部超音波検査で「膵嚢胞(すいのうほう)」や「膵管拡張(すいかんかくちょう)」が発見された場合に、膵がんの高危険群として半年毎の間隔で画像検査を継続して行う方法です。

膵臓は沈黙の臓器といわれており、症状が出てからの受診では手術が出来ない進行癌として診断されることがほとんどです。無症状のうちに診断する必要がありますが、そのためには膵がんになりやすい方を拾い上げて定期的な画像検査を行う必要があります。その拾い上げる基準が「膵嚢胞」や「膵管拡張」です。

2021年の沖縄県の膵がん診断のうち健診・人間ドックがきっかけとなったのは4.6%で、他の病気の経過観察中に偶然発見されたのが33.3%であり、無症状での診断例が4割未満と非常に少ないです(沖縄県院内がん登録集計報告書2021年症例)。
健診や人間ドックで「膵嚢胞」や「膵管拡張」が発見されても、無症状であること、すぐには治療対象とはならないことから二次検診を受診されない方が多くいます。糖尿病や喫煙、大量飲酒、肥満、膵がんの家族歴などの膵がん危険因子が全く無くても、「膵嚢胞」がある場合は膵がんになりやすい高危険群であり、定期的な画像検査が必要なため二次検診の受診が必要です。画像検査としてはMRIや超音波内視鏡検査を行いますので、専門施設への受診がすすめられます。

繰り返しになりますが「膵嚢胞」や「膵管拡張」を有する方は膵がんの高危険群です。定期的な画像検査を行うことで膵がんの早期診断ができ、長期の予後が期待できるので、健診で要精査と紹介状が出た方は忘れずに二次検診を受けましょう。

消化器内科 森 英輝

膵がん早期診断プロジェクト

中頭病院・ちばなクリニックでは「膵がん早期診断プロジェクト」を開始いたしました。  
初期の膵がんは症状が出現しにくいため、進行がんで発見されることが多い状況でしたが、リスクに応じて必要な検査を受けることで早期発見も可能です。膵がんを早期に発見するには、どこに注目すべきか・どんな検査があるのかをご説明いたします。

中頭病院・ちばなクリニックでは、地域の医療機関と連携して「手術ができる小さな膵がん」を早期発見、診断、治療へと取り組んでいます。