令和4年度

小児科は主に一般外来（同一法人 ちばなクリニックを含む）からの入院患者、近隣医療機関からの紹介入院患者、時間外外来（救急搬送を含む）からの入院患者からなり、気道感染を主とした感染症、喘息発作が多くを占めています。専門外来として小児循環器、新生児、小児内分泌、小児神経、小児アレルギーを行っており、3番目に多い「食べ物アレルギー」はアレルギーが疑われる食品を摂取し、症状の有無を確認する食物経口負荷試験目的で入院した患者さんが37名となっていました。

外科では24時間救急体制をとっており、救急疾患である鼠径ヘルニア、胆嚢炎や虫垂炎などの症例が多く、そのほとんどを身体に負担の少ない低侵襲な腹腔鏡下で行っています。1991年に腹腔鏡下胆嚢摘出術を県内で最初に行い、現在では多くの分野（食道、胃、大腸、肝胆膵、ヘルニアなど）で内視鏡手術（腹腔鏡手術）を行っています。また、大腸がん、胃がん、肺がんなどの悪性疾患に対しても腹腔鏡、胸腔鏡手術などによる低侵襲な治療に積極的に取り組んでいます。2019年度からはロボット手術も導入、予定手術以外の緊急手術も多数施行しており、救急医療にも力を入れています。

一般の四肢・脊椎外傷はもとより、関節変形性疾患（変形性膝関節症、変形性股関節症に対する人工関節置換術など）、脊椎変形性疾患（腰部脊柱管狭窄症、頚髄症等に対する椎弓形成術など）の治療を盛んに行っています。
股関節骨折・大腿骨骨折は平均年齢83歳と高齢の患者さんが多く、当院の平均在院日数は24日と長くなっています。また、急性期治療終了後はリハビリテーションを集中的に行う回復期リハビリテーション病院などへ転院していただいているため、転院率が高くなっています。
自院のみで治療を完結させず、近隣の医療機関などと協力し、切れ目のない医療を提供しています。

平成16年に形成外科が診療科として設立されました。開設当初より乳腺外科と密接に連携し、乳癌術後の乳房再建治療を数多く行っています。形成外科は顔面骨折や血管・神経損傷の修復など救命救急としての側面も持っています。他には眼瞼下垂（まぶたが下がって見えにくくなる病態）、腋臭症（わきが）など生活の質（Quality of Life）向上に繋がる治療を多く行っています。
※「病院情報の公表」集計条件に基づき、患者数が10名未満の場合は「-（ハイフン）」で表記しています。

脳神経外科は頭蓋内血腫の患者さんが多く、次いで頭蓋内損傷の患者さんが多くなっています。
頭蓋内血腫はJCS（日本で使用される患者さんの意識レベルを分類する方法。0は正常な状態で1から300の9つ（1、2、3、10、20、30、100、200、300）に分類され、数字が大きくなるほど重度の意識障害があることを意味します）手術の有無によってDPCコードが異なり、同じJCS10以上でも010040x199x0xxは手術が行われていない、010040x101x1xxは手術が行われており、人工呼吸器などを使用している患者さんの数を示しています。
頭蓋損傷のDPCコード160100xx97x00xは手術が行われており、160100xx99x00xは手術が行われていない患者さんの数を示しています。

扱う病気の性質上、多くの患者さんは循環器内科から紹介され、外科治療が必要と判断された場合は循環器内科と協議し治療を行います。また、緊急外科手術を要する疾患にも対応しています。代表的な疾患として弁膜症（心臓内には血液の逆流を防止するための弁が4つあり、弁に障害が起きて本来の役割を果たせなくなった状態）、大動脈解離（大動脈は外側から外膜、中膜、内膜の3層構造となっており、なんらかの原因で内膜に裂け目ができ、中膜の中に血液が入り込んで大動脈が裂ける病態）の症例を多く治療しており、大動脈瘤に対しては血管外科グループと共同でステントグラフト（血管内治療）も行っています。
非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤のDPCコード050163xx03x0xxはステントグラフト内挿術が行われており、050163xx02x1xxは大動脈瘤切除術が行われています。
※「病院情報の公表」集計条件に基づき、患者数が10名未満の場合は「-（ハイフン）」で表記しています。

産婦人科は産科部門と婦人科部門に二分され、産科部門では初期の妊婦健診から正常経腟分娩はもちろん、予定・緊急帝王切開手術まで対応しています。新生児の管理は小児科が中心に対応しており、安心して出産に臨める体制をとっています。婦人科部門では、子宮筋腫や卵巣のう腫といった良性疾患、子宮頚がん、子宮体がん、卵巣がんといった悪性腫瘍の手術も行っています。

眼科入院の多くは手術目的です。白内障の症例が最も多く、平均在院日数は約2日です。次いでぶどう膜炎（瞳孔の調整をする虹彩、ピントを調節する毛様体、網膜に栄養を届ける役目のある脈絡膜の三つの組織から成り、これらの組織に炎症が起きた状態）や緑内障（眼圧が高くなり視神経が障害され、視野（見える範囲）が狭くなる病気）、網膜剥離（眼球の内側についている神経でできた薄い膜（網膜）が眼球から剥がれ視力低下や視野が狭くなる病気）となっています。
※「病院情報の公表」集計条件に基づき、患者数が10名未満の場合は「-（ハイフン）」で表記しています。

耳鼻咽喉科は、日常生活を送る上で重要な機能（聴力や平衡機能、または呼吸や嚥下）を司る〈耳、鼻、のど〉などの器官や、頭頸部領域（耳下腺、顎下腫等の唾液腺、舌、口腔底、咽頭、喉頭、甲状腺）の腫瘍が診療対象です。
扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎のDPCコード030240xx99xxxxは手術が行われていない、030240xx01xx0xは手術が行われている患者さんの数を示しています。

泌尿器科では尿路・性器（腎、尿管、膀胱、尿道、男性の前立腺、精巣、陰茎、陰嚢）に発症する疾患の治療を行っています。手術療法では従来施行していた開腹手術、経尿道的内視鏡手術、腹腔鏡手術に加え、2018年よりロボット手術も導入しました。
膀胱腫瘍、前立腺肥大症、尿路結石症、前立腺癌などの入院が多くなっています。

内科においては総胆管結石、総胆管結石性胆管炎などに対して内視鏡的胆道ステント留置術を多く行っています。
虚血性心疾患（心筋梗塞や狭心症など）の循環器系の疾患に対しては、経皮的冠動脈インターベンション（PCI）を積極的に行っています。当院は心臓カテーテル装置を2台有しており、標準的な治療であるバルーン拡張、ステント留置はもちろんのこと、最も良い治療が外科治療であれば、心臓血管外科、血管外科グループへ手術の依頼をします。急性心筋梗塞や不安定狭心症などの緊急を要する疾患に関しては昼夜を問わずに心臓カテーテル検査、治療を行っています。また、その他にもペースメーカー移植術など数多くの症例をこなしています。

外科では胆石、ヘルニア、虫垂炎などの良性疾患から大腸がん、胃がん、肝胆膵腫瘍、乳がん、肺がんなどの悪性腫瘍まで幅広い疾患に対して手術を行っています。また、腹腔鏡や胸腔鏡での手術を積極的に行い、より侵襲が少ない治療を目指しています。乳がんの手術は県内においても有数の手術症例数になっています。
2019年度からはロボット手術も導入し、予定手術以外の緊急手術も多数施行しており、救急医療にも力を入れています。

整形外科では、骨折観血的手術（ギプス固定では治療が難しい複雑な骨折や重度の骨折、関節の周囲の骨折などで行う外科手術）が最も多くなっています。近年の高齢化とともに高齢者の転倒による大腿骨骨折の手術件数が増加していることが要因の一つです。
脊椎変性疾患（腰部脊柱管狭窄症、頚髄症等）に対しては脊椎固定術や椎弓形成術、変形性股関節症や膝関節症に対しては、人工関節置換術を行っています。

形成外科では、乳腺外科と密接に連携して、乳癌術後の乳房再建手術を多く行っています。
また、眼瞼下垂症手術や腋臭症手術を多く行っています。さらに、近隣の医療機関と連携し、難しい変形に対する治療行っています。現在、常勤医師1名および、非常勤医師1名、大学から定期的に来る数名の医師で診療を行っており、形成外科のあらゆる対象疾患に対応できる体制を整えています。
※「病院情報の公表」集計条件に基づき、患者数が10名未満の場合は「-（ハイフン）」で表記しています。

脳神経外科では主に硬膜下血腫に対して慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術（頭蓋から血腫を洗浄する手術）が行われています。平均年齢は約80歳と高齢の患者さんが多くなっています。
急性期の治療後は近隣の医療機関と連携し、継続してリハビリ治療が行えるよう努めています。
※「病院情報の公表」集計条件に基づき、患者数が10名未満の場合は「-（ハイフン）」で表記しています。

心臓血管外科では大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症に対する弁置換術を多く行っています。また、不安定狭心症、労作性狭心症に対して冠動脈、大動脈バイパス移植術（２吻合以上）を行っています。その他には胸部大動脈瘤に対して血管外科グループと共同でステントグラフト（血管内治療）も行っています。
※「病院情報の公表」集計条件に基づき、患者数が10名未満の場合は「-（ハイフン）」で表記しています。

診療の大きな柱として産科部門と婦人科部門に分かれ、産科部門では出産に対する全分娩数の約26％を帝王切開術が占めており、分娩リスクの高い患者さんに対する予定帝王切開や通常分娩中に生じる緊急帝王切開にも対応しています。
婦人科部門では子宮ならびに付属器（卵管・卵巣）疾患、良性腫瘍に対しては腹腔鏡下手術も行っています。悪性疾患が疑われる場合など腹腔鏡下手術適応外の場合は開腹手術を行います。

眼科では白内障に対する水晶体再建術や糖尿病性増殖性網膜症、網膜剥離、黄斑、後極変性に対する硝子体茎顕微鏡下離断術を多く行っています。手術施行後帰宅できる日帰り手術や入院日に手術を行い、翌日には退院する短期滞在手術が主流となっています。
※「病院情報の公表」集計条件に基づき、患者数が10名未満の場合は「-（ハイフン）」で表記しています。

耳鼻咽喉科では上顎洞炎や副鼻腔炎に対して、内視鏡下鼻・副鼻腔手術、慢性扁桃炎に対する口蓋扁桃手術（摘出）が多く行なわれています。また、頭頸部領域の腫瘍（耳下腺、顎下腺など唾液腺腫瘍、舌、口腔底、咽頭、喉頭の悪性腫瘍、甲状腺腫瘍など）の手術を外科、形成外科と協力しながら遊離空腸や腹直筋による再建術を含めて行っています。

泌尿器科では膀胱がんや前立腺がんに対する手術症例を多く行っています。膀胱がんに対して経尿道的膀胱腫瘍切除術（TUR-Bt）、前立腺がんに対してロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術（RARP）が行われています。
前立腺肥大症に対して侵襲性の少ないレーザーを用いた経尿道的ホルミウムレーザー前立腺核出術（HoLEP）、尿路結石症に対して経尿道的尿路結石除去術（TUL）や体外衝撃波結石破砕術（ESWL）を行っています。
泌尿器科の上位5位の手術は平均年齢が68.5歳と高くなっています。