形成外科
2014/11/26

形成外科シリーズ ⑨ 巻き爪・嵌入爪(かんにゅうそう)

■巻き爪・嵌入爪■


巻き爪は、爪が変形して横方向に巻いた状態です。嵌入爪(かんにゅうそう)は、爪の横端が皮膚にくい込んで炎症を起こし痛む状態です。これらは同時に起きることも多く、痛みが強くなると日常生活にとても大きな支障となります。
原因として多いのは、

・足先に合わない靴(ハイヒールなど)
・深爪などの不適切な爪切り
・ケガによる物理的な変形

などです。また、その他にも爪白癬(爪のミズムシ)、糖尿病、足の骨の変形、ビタミン欠乏、リウマチなどがあると、爪の変形を起こすことがあります。特に、爪白癬がある場合は、爪の変形の治療と同時に、皮膚科でミズムシの治療を行う必要があります。

■治療■


治療には大きく分けて3通りの方法があります。

①つめを切らない直し方(ワイヤー矯正・プレート矯正)

爪に特殊な合金でできたワイヤーやプレートを装着して、時間をかけて少しずつ矯正していきます。ワイヤーは装着できるくらいに爪が伸びるまで待つ必要があるので、すでに痛みがある場合は難しい場合があります。プレートはすぐに装着できますが、矯正力はワイヤーに劣ります。
処置自体は痛みを伴わず、爪の幅を細くせずに変形を矯正することができます。

②爪を切る治し方(フェノール法)

くい込んでいる部分の爪を、幅数mmで切除し、再び生えてこないように爪の根本にフェノールというお薬を塗る方法です。局所麻酔で約10分ほどの処置です。切除したぶん、爪は細くなりますが、痛みはすぐに軽減されます。

③手術で爪の土台を整える治し方(爪床形成術)

指の骨の変形がある場合や、変形が高度の場合などは、骨を削ったり爪の土台(爪床)の形を整える手術が必要になることもあります。手術後もしばらくは創部に痛みがあるますので、歩行の制限が加わったり、場合によっては入院が必要になります。ただし、手術が必要なほどの変形は、非常にまれです。

■最後に■


爪のくい込みによる炎症を放置していると、炎症が骨まで進行し、指全体が腐ってしまうことがあります。そこまで進行すると、指の切断の危険性が生じます。特に、糖尿病をお持ちの方は、痛みを感じにくいため、炎症が進行しやすい傾向があるため、注意が必要です。
できるだけ早めに治療を開始することをおすすめします。