びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫におけるJAK-STAT経路活性化の意義

テ ー マ : 「びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫におけるJAK-STAT経路活性化の意義」
研究期間 : 琉球大学倫理委員会承認日〜2021年3月31日
対  象 : 2002〜2017年の間に新規発症し治療が行われたDLBCL患者

本講座ではこのたび上記テーマ (申請者: 琉球大学大学院医学研究科細胞病理学 教授 加留部謙之輔)の臨床研究を行うこととなりました。リンパ系悪性腫瘍(いわゆる悪性リンパ腫)は血液のがんの中でも最も頻度が高いものであり、沖縄県においても毎年多数の方が発症されています。リンパ系悪性腫瘍は何十もの細かい分類(亜型といいます)に分かれますが、その亜型によって、治りやすいものと治りにくいものがあります。その中でもびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)は世界的に見て最も頻度の高い亜型であり、沖縄県も例外ではありません。DLBCLの患者さんの予後は、近年の医学の進歩で改善しましたが、治癒率は約60%であり、依然として多くの患者さんにとって脅威となる疾患であることには変わりありません。

今回の研究ではDLBCLをターゲットにして、腫瘍の生物学的特徴と臨床所見の関係性を明らかにする研究を行います。遺伝子異常などの腫瘍細胞の性質が症状や治療の効果にどれほどの影響を与えるかがわかれば、将来的にDLBCLの患者さんの治療や診断に大きく貢献できると考えられます。具体的には、患者さんの検体は琉球大学大学院細胞病理学講座に提供され、保管されます。その後、蛋白の発現や遺伝子異常が解析され、臨床症状や予後などの臨床データとの対比が行われます。

この研究は、DLBCLの患者さんから診断のために採取された検体の”残り”を活用します。このように、この研究のためだけに新たに組織を採取し直すことはありませんので、患者さんの負担が増えることはありません。保存する検体には保存のための別の番号が付けられます。その検体番号と病院名、施設内ID番号、病型、性別、生弁月日とが連結可能な形で、管理台帳ファイルに管理・保管されます。管理台帳ファイルは各研究協力施設で保管され、琉球大学大学院医学研究科細胞病理学講座が患者さんのお名前や住所などの個人情報を特定することができないようにいたします。もちろん第三者が患者さんを特定することはできません。この研究に参加された方々の年齢や性別、検査結果などは学会や論文で公表・使用されることがありますが、個人が特定されることはありません。また、この研究の記録が適切に残されていることなどを確認するために、当院の関係者が診療記録を見せていただき、内容の照合を行うことがあります。

本研究は琉球大学および当院の倫理委員会にて承認を受けて進めます。使用に同意されない場合は自由に使用の拒否ができますし、撤回の申し出があった検体については、研究対象から外し、検体と患者情報を研究協力機関に返却します。それによって診療の内容が影響することは一切ありません。

ご不明な点は、以下にお問い合わせください。
【社会医療法人敬愛会 中頭病院 血液腫瘍内科】
医師 林 正樹 (はやし まさき)
TEL: 098-939-1300
FAX: 098-937-8699