乳がん検診

以前このわかばにて、近年増加の 一途をたどる乳がんについてお話させていただきました。
今回は進歩する乳がん診療(診断編) についてお話します。

 

中村 基子
(マンモグラフィー検診精度管理中央委員会認定放射線技師)

又吉 理子
(臨床細胞検査師)

 

 

早期発見の重要性

 初期の乳がんのおおよそは触知することはできません。非触知(初期)の段階で発見された乳がんは、適切な治療を受ければ生存率は95%と高く、根治の可能性も高くなります。また、最小限の手術で治療することが可能で、乳房切除の可能性も低くなります。

 平成16年4月から乳がん検診の指針(厚生労働省)が大きく変わりました。これまでは50歳以上でしたが40歳代以上に隔年、視触診とマンモグラフィー(乳房X線撮影)を全面 導入することになりました。日本の乳がん羅患率のピークが40歳代にあることが大きな理由です。乳がん検診では視触診に加えて、画像診断を導入することで、1cm以下の微小乳がん、触知できない乳がんを発見することができます。このマンモグラフィー併用による乳がんの発見率は、視触診だけの乳がん検診の3倍と報告されています。

 マンモグラフィー併用乳がん検診の一番のメリットは「小さな病変」の乳がんを発見できるということですが、この「小さな病変」として、しこりをつくらない微小石灰化を発見する機会が増えてきました。微小石灰化の粒の大きさは砂糖粒と同じくらいあります。微小石灰化でも良性病変の場合の方が多く、すべてが乳がんというわけではありませんが、その石灰化の形と分布によってがんの可能性が何%であるかということがわかっています。

 

当院における乳がん検診の流れ

 当院では、市町村からの乳がん検診とその2次検診、本人希望による乳がん検診を行っています。医師による視触診と問診が基本になりますが、医師の判断や患者さまの希望に応じて、マンモグラフィーや乳房超音波検査といった画像による検査を追加して行っています。また、人間ドックにおいても、マンモグラフィーと乳房超音波検査がオプションとして選べるようになっています。

 自己検診にて、しこりがある、乳頭から分泌物があるといった患者さまに対しては、図に示すような流れで検査を行います。

乳がん検査の流れ

図1. のそれぞれの検査について説明します

@・A 視触診・問診

しこりなどがある場合には発見動機、生理の状況、授乳歴など乳がんのリスクファクターについてお尋ねします。 診察でしこり、乳頭からの分泌物、乳頭・皮膚の変化などをみます。

B マンモグラフィー検査(乳房専用レントゲン撮影)  

 マンモグラフィーは乳房専用のレントゲン装置で、乳房を見えやすくするために、乳房をはさみ込んで(乳房に圧迫をかけて)撮影する特殊な装置です。マンモグラフィーは乳房の中のすみずみまで(脂肪や軟部組織など)はっきり写 し出すことができ、しこりの形や乳腺の乱れ、がん細胞が死滅してできる石灰化などを見つけることができます。 乳房を左右それぞれ2方向(内外斜位方向、頭尾方向)の各2枚合計4枚の撮影を行います。気になる箇所は、大きく拡大撮影を行うことも可能です。 非触知乳がん(触診ではわからないような小さな乳がんや腫瘤をつくらない乳がん)などを鮮明に微細石灰化として写 し出すことができますが、乳腺の豊富な若い方には不向きですし、放射線を利用するので妊娠している方にはできません。  立体的な乳房は、そのままでは腫瘍などが隠れてしまうことがあるため、より病変を見やすくするために乳房を圧迫する必要があります。また圧迫することで、X線被爆量 を減らす効果もあります。

乳がん検診マンモグラフィー

 当院では、マンモグラフィー撮影には、マンモグラフィー検診精度管理中央委員会の定めた講習を終了し、認定を受けた臨床放射線技師が撮影を行っています。また、撮影された写 真は、「マンモグラフィー検診精度管理中央委員会」の認定を受けた放射線科医が読影を行っています。

C 乳房超音波検査  

 乳房に超音波をあてて、乳房内部からはねかえってくる反射波(エコー)を画像化して乳腺の状態を調べる検査です。また、しこりを見つけた場合には、しこりの形や、その内容などをみていきます。痛みは全く感じることなく何度でもできる簡単な検査で、5mm以下の乳がんもわかるようになってきました。ただし、マンモグラフィーが写 し出すことのできる微細石灰化等を描出するのは困難ですが、マンモグラフィー検査ではうまく写 真を撮れない若い女性にも有効な場合もあります。女性の臨床検査技師が検査を行っています。

D・F 超音波ガイド下穿刺吸引細胞診(fine needle aspiration cytology,FNA)、 乳頭分泌物細胞診

 乳房の腫瘍が疑われる場合、注射用の細い針で病変を刺し、細胞を吸引する「穿刺吸引細胞診」と乳頭からの分泌物を採取して細胞を調べる「乳頭分泌物細胞診」を行います。これを顕微鏡にて観察し、良性、がん疑い、悪性(がん)の判定をします。約4日後に診断の結果 がでます。判定には、細胞診専任の臨床検査技師と病理医が行います。

E 組織診  

 画像検査や細胞診検査の結果、乳腺の腫瘍や癌が疑われる場合、病変の一部を採取して病理組織診断(顕微鏡で組織を調べる)を行います。超音波で場所を確認しながら乳房内に針を刺して行う超音波ガイド下針生検(core needle biopsy,CNB)と手術室において、皮膚を切開して行う「外科的生検」があります。最近広く行われているマンモトーム生検は、針生検の1つです。約1週間後に診断の結果 がでます。

E 乳管造影  

 乳汁分泌があり、しこりが認められない場合に行うことがあります。マンモグラフィーを利用して乳管の中に造影剤を入れて、病巣の有無を確認します。腫瘍がある場合には組織診を行います。

 

マンモトーム生検

 マンモトームとは、画像ガイド下で使用する乳房専用吸引式組織生検システム(装置)のことで、このシステムを用いた検査をマンモトーム生検といいます。

 マンモトーム生検は,侵襲の大きな外科的生検に取って代わる手技で、超音波ガイド下およびステレオガイド下(マンモグラフィーを用いて)で行います。病変を超音波あるいは、マンモグラフィーで見ながら、乳房に直径5mm程の針を刺入し、マンモトームの自動吸引装置が組織を吸引・切離し標本を採取するため、超音波ガイド下針生検(core needle biopsy,CNB)に比較して、確実に多くの検体を採取することができます。

乳がん検診マンモトーム

マンモトーム生検の特徴は以下のとおりです

1. 傷痕は約5mm以下の小さな傷である  
2. 縫合の必要がない
3. 乳房の変形がない  
4. 生検時の痛みはほとんどない
   (事前に十分な麻酔をかけます)  
5.入院は不要
   (翌日に外来に来ていただく必要があります)
6.1回の刺入で確実な診断ができる

当院では2002年11月から導入しており、乳線専門の外科医、外科外来看護師、臨床放射線技師、細胞診専任臨床検査技師のそれぞれから専任スタッフを決め、チームを組んでマンモトーム生検にあたっています。 2004年4月からは保険適用となっています。

 


図1.の流れの中にはありませんが、手術の前にCT検査やMRI検査を行うことがあります。乳がんにおいては、主に乳房温存手術のための広がり診断に用いられます。それ以外では、他の場所に乳がんが存在していないかの検索、リンパ節転移の有無の診断補助として使用されこともあります。

 

最後に

 近年日本女性に増えてきている乳がんですが、ごく初期の段階で発見することができれば、完治する可能性も高く、また乳房を温存することも可能です。早期発見のためには、定期的な自己検診や医療機関での乳がん検診を受けることが重要であり、何か異常を感じたらすぐに乳線専門医のいる医療機関を受診することが重要です。

 また、乳がんの検査、治療を行っている医療機関においては、マンモグラフィーや乳腺超音波検査などの画像検査や細胞診や組織診が精確に行われることが要求されます。 乳腺に限りませんが、それぞれの検査を行う医師、技師の技量 により、検査の内容、質が大きく異なってくるため、当院では、外科医師、放射線科医師、臨床放射線技師、臨床検査技師(超音波検査担当および細胞診担当)による勉強会を行っており、各分野のスタッフがスペシャリストを目指して、日々努力しています。女性スタッフを中心に検査を行いますので、気軽に当院の乳がん検診を受診してください。

 

検診料金

人間ドックオプション

@ 乳房超音波検査(乳房エコー)‥‥‥ 2,940円
A 乳房撮影検査(マンモグラフィー)‥ 2,310円
@+A ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5,250円

※人数制限があります
※外来の混み具合によっては、受け入れできない場合があります
※詳しくは人間ドック窓口へお問い合わせください

お問い合わせ→ TEL098-939-5477(健康管理センター)

市町村 乳がん検診(予約制) 

市町村によって料金が異なります。
各市町村の窓口にお問い合わせください。

ちばなクリニックにて
電話で予約を承っております。どうぞご利用ください。
予約受付→ TEL098-939-1324(コールセンター)

 

もし、乳房の手術を勧められたら 相談窓口へどうぞ
ちばなクリニック 外科外来では、乳房の手術を勧められた方を対象に、看護師による相談窓口を設けております。 どんなことでもかまいませんので、スタッフに声をかけてください。私たちにできることは、なんでもお力になりたいと思っています。

下記の時間帯で相談を受けております

月・火・木・金・土
12:30〜13:30、17:00〜17:30

水曜日
12:00〜13:00