乳腺科
2012/01/26

乳がんとは

乳がんとは?


乳がんは、日本の女性で一番なりやすいがんで、年々罹患する人は増加しています。乳がんが心配な方、母親・娘さん・姉妹が乳がんで情報が知りたい方、乳がんと診断されたけれどもどういう病気でどうすればいいのか、様々な方がいらっしゃると思います。ここでは、乳がんについて少し解説します。何か症状がある場合は、乳腺専門の病院を受診されることをお勧めいたします。乳がんの疫学

○乳がんの診断に至るまで

症状がある場合、検診目的、乳がん検診で異常指摘があった場合などで、乳腺科を受診されると思います。症状の有無の確認(問診)のあと、視診・触診でしこりや皮膚に異常がないかを診察します。また、エコー(超音波)検査やマンモグラフィで異常な所見がないかをチェックします。この時点で異常がなければ診察を終了し、後日また検診でよい方もいらっしゃいます。

診断まあでの検査乳がんの症状と受診

もう少し詳しく調べた方がよい所見があった方は、病理検査(細胞診・針生検など、組織を採取して細胞を顕微鏡で見る検査)で気になる部位の検査を行い、良性か悪性(乳がん)であるかを調べます。

病理検査で乳がんと診断された場合は、さらにMRIで乳がんのひろがりを調べたり、必要に応じてPET/CT、造影CTなどでわきのリンパ節や他の臓器に転移がないかどうかを検査します。乳がんの診断

○乳がんの分類

乳がんは、いくつかの大まかな分類の仕方があります。

①    構造による分類・・・乳管由来か、小葉由来か、それ以外の特殊型か。

②    分子生物学的観点からの分類・・・乳がんの性質を表す、薬物療法を選択するときの重要な手がかりです。

③    病期による分類・・・腫瘍の大きさ、リンパ節転移の有無、遠隔転移などの進行度を評価した、いわゆる「ステージ」です。

○治療

乳がんは、乳房の腫瘍を切除して終わりではありません。乳がんの性質・進行度、治療の目的、ご本人の希望・体力などに合わせて、全身治療・局所治療を組み合わせて行うことが治療の柱となります。病気のことだけでなく、患者さんの希望・社会的背景などを考慮して治療を選択していくことが大切です。

・全身治療:いわゆるお薬による治療です。現在、乳がんでは以下の3つのカテゴリーの治療があります。

内分泌療法:女性ホルモンの影響を受けて増殖するタイプの乳がんは全体の約7割を占めます。このタイプの方に対して、女性ホルモンが、がん細胞に影響するのを防ぐことを目的とした治療です。閉経前と閉経後で使用するお薬が異なります。

抗がん剤:がん細胞が増殖する過程を阻害し、体内のがん細胞を殺してしまいます。

分子標的薬:がん細胞の増殖過程で重要な役割を果たす特定の分子をターゲットとするお薬で、がん細胞の増殖を抑えたり、生存できないようにします。近年著しく発展している分野のお薬で、乳がんではHER2をターゲットとしたハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)などが使用されます。

・局所治療

手術・・・ 乳房 部分切除術(温存術)

              乳房切除術(全摘術)

      リンパ節:センチネルリンパ節生検

                腋窩廓清

放射線治療・・・局所再発率を低下させるために、温存術後の方、腫瘍径が5㎝を超える方、リンパ節転移数の

多い方などが対象となります。乳がんの治療

○治療のあとは?

個人に合わせた一通りの治療が終了したあとも、再発の予防として患者さんご自身ができることがあります。まずは太らないこと。適度な運動・暴飲暴食は避けるなどの生活習慣の改善も大事です。また、外来で再発がないかの診察・マンモグラフィなどによる定期チェックが必要です。治療後は、家庭や仕事で頑張ったり活躍している方も大勢いらっしゃいますし、乳がん患者会などで活動されたり、様々な選択肢があります。あなたの体調とライフスタイルに合わせた、無理のない方法で継続してください。

*独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター関連リンク
http://ganjoho.jp/public/cancer/data/breast.html

がん情報サービス

*がんサポート情報センター
http://www.gsic.jp/