乳腺科
2017/03/11

2016 実績・各種データUPしました!

乳腺科:手術治療実績の集計概要

●集計対象:当院にて平成19(2007)年1月1日から平成28(2016)年12月31日の間に初発乳癌における初
                       回手術をした症例。

●集計時期:平成29(2017)年2月1日現在

●集計定義:

・全てのデータは一腫瘍につき一症例として集計し、両側乳癌の同時手術の場合、二症例として集計してい
ます。

・再発・転移の症例は含めず、初発乳癌の手術症例のみを対象とし、初診時よりステージⅣの症例に対する、
姑息的な手術を施行した症例も集計対象としています。

・各グラフは、それぞれの要素における正確な根拠が得られたもののみ表示しているため、グラフにより表示
年にばらつきがあります。

 

〇各画像はクリックすると拡大されます

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当院で施行した初発の乳癌に対する初回の乳癌摘出術件数の推移です。2013年以降は増加の一途をたどり、2016年には200件を超えました。

 

 

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当院で2016年に乳癌の初回手術をした患者さんの年代分布を、去年の同じものと比較しています。30代未満と50代では若干の減少がみられましたが、去年と比較して2016年は全体的に手術症例が増加した分、その他の年代は増加しました。また、前年同様60代がもっとも多い年代となりました。

 

 

病期分類には、日本乳癌学会が定める乳癌取り扱い規約によるものと、国際対がん連合(UICC)が刊行した病期分類によるものがあります。当該グラフはUICCの病気分類を参考に分類したものです。過去5年と比較し、2016年は全体の9割をⅡ期以下で占め、Ⅲ~Ⅳ期の症例が占める割合が最も少なくなっています。通常、癌と診断されたら病期分類を行いますが、「不明」となっているものは術前の検査で癌かどうか判断が不能であるため、診断と治療を目的として先に手術を行った結果、癌だったという症例を表しています。

 

 


当院で乳癌の手術をした患者さんにおける、それぞれの乳癌がもつ治療前のエストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)、HER2受容体の陽陰性の検査結果を要約したグラフです。それぞれの評価基準はグラフ内に記載されているとおりです。
HER2スコアにおいては「0~3+」までの判定基準で、HER2が「2+」の場合、さらに検査を行い、陰性か陽性か判定をします。
2016年までの5年間をみると、各年のER/PgRが陽性であったとされる癌が占める割合は漸増傾向にあります。HER2スコアが陽性であった癌が占める割合は+10~23%と増減にばらつきがみられますが、ほぼ一般的な統計と同様の結果であるといえます。

 

 


当院で乳癌の手術をした患者さんにおける乳癌のサブタイプを、手術施行年ごとに集計しその割合の推移を表したグラフです。
サブタイプはER、PgR、HER2、Ki67の発現状況に応じて乳癌を分類したもので、予後と関連することがわかってきています。1)。
治療開始前の検査結果より、医師がそれぞれの患者さんの乳癌のサブタイプを分類し、その分類に応じて薬物治療の方針を決定します。ここでは、術前に上皮内癌と診断された症例は省いて集計しています。それぞれの分類の定義については、表①をご覧ください。
1)St.Gallen会議にて(2011)

 

 

当院での乳癌手術を施行した症例のうち、術前の薬物療法の施行割合を表したグラフです。乳癌の診断がされてから、乳癌の手術を行うまでに、薬物療法による治療を先行することがあります。当院では、主に内分泌療法と化学療法、分子標的薬による治療を実施しており、それぞれ単独かあるいは組み合わせて行います。2016年は手術症例の約6割が術前治療を施行しました。

 

 

当院で乳癌摘出手術を施行した症例のうち、術前に化学療法あるいは分子標的薬治療を行った症例における、術前治療効果判定の分類別割合の推移を表したグラフです。2016年に術前化学療法を施行した症例は前年と比較し減少しましたが、過去5年間でGrade0(無効)の占める割合は漸減傾向がみられ、2016年では0%となりました。

 

 

当院で施行した乳癌摘出術の術式別手術件数のグラフです。個人情報保護などの観点より5件未満であった項目の件数表示は省略しています。当院ではいずれの年ももっとも多いのが乳房部分切除です。乳房を温存して癌の摘出を行う術式で、2016年は123件と全体の6割を占める割合になり、2007年からの10年間でもっとも多い件数となりました。

 

 

術前の診断でリンパ節に転移がないと診断された患者さんへ施行するセンチネルリンパ節生検(sentinel lymph node biopsy:SNB)と、術前診断でリンパ節に転移があると診断された患者さんに施行する腋窩リンパ節郭清(axillary lymph node dissection:Ax)に分けられます。

SNBは術中に迅速病理検査を行い、その検体から癌細胞が検出された場合、Axまで施行します(SNB→Ax)。また、サンプリングとして試験的に数個のリンパ節を採取する方法や、患者さんの全身状態などにより乳房内の癌細胞のみ摘出し、リンパ節郭清は省略することもあります。
当院では、SNBによるリンパ節郭清の占める割合は年々増加傾向にあり、転移のない乳房内に限局する乳癌の手術症例が多かったことが分かります。

 

 

当院の乳腺外科で初発乳癌摘出術を施行した症例における、乳房再建術の件数推移です。当院では形成外科と密に連携を取りながら、乳癌の治療のために乳房を切除する患者さんに対して、乳房再建も行っています。再建術は、乳癌の治療を考慮しながら患者さんと医師などの相談により決定されますので、施行年により件数のばらつきがみられます。2014年6月以降、インプラント(人工乳房)を使用した乳房再建術に保険が適用され、乳癌摘出術と同時に組織拡張器:Tissue Expander(TE)を挿入して皮膚を十分に伸ばした後に、2回目の手術でインプラントと入れ替えを行う再建術の増加がみられました。2016年には乳癌の摘出術と同時にインプラントを挿入する再建術も5件みられました。また、患者さん自身の広背筋(LD flap)や大網(Omental flap)を使用した再建術も積極的に行っています。

 

(※乳房再建について、下記の「日本オンコプラスティックサージャリー学会」により詳細について記載されていますので、是非ご覧ください。)

日本オ乳房ンコプラスティックサージャリ―学会

 

 

【治療実績データに関するお問い合わせ先】
cancer_1069keiaikai@www.nakagami.or.jp.or.jp